「ひとの気持ちを交換する通貨」

「ひとの気持ちを交換する通貨」

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影山知明 さんの著書「ゆっくり、いそげ」の前書きの中で「ビジネスと経済」の概念についてこのように書いてある。

 

「経済とは元々、中国の古典に登場する言葉で「経世済民(=世をおさめ、民をすくう)」

言葉としては、政治や生活も含めて「社会をつくる」というニュアンスすらそこには感じられる。それがいつからか「ビジネス」という言葉に置き換えられていった。ビジネスの由来は、bisig+ness.  bisigは古い英語で、ここから派生した形容詞形がbusyだから、「忙しさ」をその語源に持つ事になる。時間をかけず、労力をかけず、コストをかけず、できるだけ効率よく商品・サービスを生産し、お金を稼ぐ」

 

 

今年の成人の日に世の中を騒がせた「はれのひ株式会社」の突然の営業停止行為を見て、この「ビジネスと経済」の言葉を改めて思い出した。

 

同じ業界ではないが、「思い出」「人々の幸せを記録」するようなビジネスモデルとしては同じ業界とも言える写真スタジオを経営している身として他人事ではなかった。

 

一生に一度の記念日を台無しにする計画的な営業停止も酷い行為だが、お客様が支払った被害額や、働くスタッフ(営業)の業務内容も驚く内容だった。

 

この事件をみながら、3年程前に韓国で起きた出来事を思い出した。

 

日本で言えば、銀座のような家賃の高いソウルの中心部で、9階建てビルのすべてを写真スタジオとしてオープンした事で韓国の写真業界でも話題になったスタジオがある日突然営業停止になった。

営業停止の理由は、数ヶ月分の全従業員の給与未払いによって起こった従業員達のストライキが原因だった。「何ヶ月先も撮影予約が埋まっており、毎日忙しく働いているのに何故、給与が滞納するのか?」

 

 働く側から見ると当然の要求だったし、経営者側とのコミュニケーションの不足で信頼がなくなり最悪な状態にまでなってしまった。

 

 多くのお客様は前払いした撮影代金や商品、撮影データーを求めてスタジオに押し込み、すべての撮影機材やスタジオ備品、衣装に至るまで持って行かれた。

 

 そもそも無理な事業の拡大で資金繰りが悪い状態だったので、この営業停止事件がテレビ等で報道される事になり結局倒産に追い込まれた。代表は詐欺容疑で法律の裁きを受ける事になった。

 

 実はこの会社の代表とは私が韓国に行った時や彼が日本に来るときには食事をする程度の中だった。

 

 韓国で成功して日本や中国にも進出したいと大きな野望を抱いていたのを覚えている。

 

 とても残念な出来事だった。

 

 

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昨夜、参加した「ぶんじ・フリートーク」4回目の会議。

 

冒頭で紹介した「ゆっくり、いそげ」の著者 影山さんが主催しているコミュニティー会議だ。

 

この「地域通貨ぶんじ」の会議は初めて参加したが、様々な職業の方々の意見を聞きながら、「ライフスタジオ国分寺店」で何が出来るかを考える有意義な時間だった。

 

色んな意見はあると思うが、私が目指す会社を経営する本来の意味は「ビジネス」ではなく、政治や生活も含めて「社会をつくる」”経済”であると改めて確信した。

 

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2012年の9月に始めたこの「地域通貨ぶんじ」のカード裏にはこのように書いてある。

 

『相手を思う気持ちのこもった丁寧な仕事に「いいね!」

 

 率先したまちのための汗かきに「ありがとう」

 

 誰かの「贈る」仕事が

 

 また次の人の「贈る」気持ちを呼び起こし、地域をめぐる。』

 

 

「ひとの気持ちを交換するこの地域通貨ぶんじの更なる活動に期待したいし、私もその活動に参加したいと思う夜だった。