「東京ものがたり」
揺れても身動きもできない満員電車での出勤はとても苦しい日常の風景である。
家から職場までの距離は一時間を超える。
音楽を聞いたり、携帯で興味があるニュースを見たり、SNS等をチェックしたりするけど、中々この苦しい空間から発生する不快な気分を紛らわすことはできない。
最近購入した「Amazon Kindle」電子書籍で沢山の本を購入して読む事にした。当初電子書籍は違和感があったが、様々なジャンルの本が保存されているので色々読みつつ、あまり進まない時には違うジャンルの本をまた選んで少しづつ読むにはとても便利だ。
そんな中、この苦しい通勤時間を少し楽にさせてくれた一冊の本と出会った。
もう少し自分の感情を日本語で上手く書いてみたいという思いからめったに読まない文学小説を読んでみようと思った。
出版関係の仕事をしていた年配の飲み仲間におすすめの小説を聞いたらこの本を紹介してくれた。
藤沢周平さんの「橋ものがたり (新潮文庫) 文庫 – 1983/4」
初めは小説の時代背景は江戸下町だし、知らない日本語が沢山あるので理解するのは難しいかと思った。
でも初めて接するその日本語がとても新鮮で、自然と映像が浮かんで来るので揺れる電車の中で小説の世界にのめり込むのが気持ちが良いくらいの感覚になった。
美しい言葉で感情が丁寧に描かれているなあと思った。
電車の中で2回ほど胸が熱くなった。
毎月会社の会議で行う「本の討論会」
顕密に言えば討論ではなく、同じ本を読んでお互いの感想や意見を聞く時間だ。お互いを尊重する気持ちを持ち、人生や仕事について話し合うのが目的である。
毎日顔を合わせる事ができないメンバー達と普段できない会話ができるのは楽しみである。
本を選ぶのも毎回楽しい悩みでもある。
今まで主に哲学や社会、経済に関連する書籍が多かった。
今年1月に選んだ本は、お隣さんの胡桃堂喫茶店の店主影山知明さんの「ゆっくり、いそげ」
影山さんのお店づくりの哲学と実践、奮闘記をこの本を読んで知るきっかけとなった。
そして、今回の読書会を終えて、スタッフに次に読むこの本を紹介した。
「寒いので、少し心が暖かくなるような「小説」を読んでみようか。」
若いメンバー達がどんな反応をみせるか楽しみである。